南総里見八犬伝
人は皆それぞれに目指していく道は、違うものである。 こんな時、板扱均太、牛根孟六、塩浜の鹹四郎は、前夜の遺恨を晴らそうと、古那屋の門に忍び込んで来た。三人は戸に耳を近づけて、或いは扉の節穴から覗いてみれば、蝋燭が灯されていて、声さえ聞こえた…
第三十一回から第三十五回まで超意訳:南総里見八犬伝をお送りしました。 今回は、芳流閣の決闘から、巻き込まれ体質の小文吾の苦労まででしたね。小文吾の長い、本当に長~い一日、彼はこの先も大変なんでしょう。 超意訳をしていて、やはり謎がたくさんあ…
小文吾が粥を再び温めて、信乃に食べる様に勧めていると、高い声を張り上げて旅籠に入って来る者がいた。返事もせずに立ち上がり、座敷の障子を開いて、店先に走り出て来客を見た。 誰かと思えば、他ならぬ鎌倉の修験者、念玉である。 左手には大きな法螺貝…
現八を裏門の近くで見送った後、文五兵衛は家に中に入ったものの今しがた出掛けて行った現八のことが心配であった。また差し当って、信乃の病も心配であり、「どうしようか、こうしようか」 と思案に暮れて、一向に休むことができない。 この暑い時節に小さ…
信乃、現八、文五兵衛たちは、今まさに葦原から現れた人に、思いも掛けずに呼び止められて、三人そろって眼を合わした。 どうしたものかと躊躇する間に、その人物は水際に降り立ち、やがて船の舳先に歩み寄る。持っていた風呂敷包みを左肩に担ぎ直して、頬か…
2025年12月28日古河城と古河公方館に登ってきました。 ふふふ、年内まだまだ行けました。( ̄ー ̄)ニヤリ 南総里見八犬伝にも出てきました古河、厳密には古河城と古河公方館がありますが、行って参りました。 古河城はこんなトコ。今回は車で挑戦です。 初めて参…
その時、信乃は驚いて、正気に戻った顔つきになり、「犬飼殿、思いも掛けないことです。息絶えたと思いましたが、いつの間にか生き返って、今のやり取りを聞いたので、私が自害しようとしたのを止めて下さったのか」 と聞くと、文五兵衛もまた張り詰めていた…
八犬伝第四集序文 犬が夜に家を守るのは、その本性なのである。主人を敬い、主人を識るのもその本性である。ことわざに言う、悪人の盗跖を吠えるのも、聖人の堯も吠えるのも、それは犬の罪ではない。犬は相手が善人か悪人かに関わらず、見知らぬ者を吠えるも…
第二十六回から第三十回まで超意訳:南総里見八犬伝をお送りしました。今回は芳流閣の決闘の直前と額蔵の暴れっぷりと危機一髪まででした。そしてとっても可哀想な浜路ちゃん。オヨヨヨ。 例によって、謎めいた箇所がいくつかありましたので、突込みしていきまし…
さて、夜が明ける頃、近隣の百姓たちや村の長老たちが集まってきて、事の次第を尋ねて騒ぎ立て、ある者は問注所へ訴え出ようとし、またある者は額蔵たちを庇っているうちに、夜はすっかり明け、六月二十日ももう巳の刻(午前10時頃)になってしまった。 そこ…
浜路は、兄の話す物語を聞いて、嘆きは増した。面影も知らない亡き父と母について、兄である道節が切実に語った言葉に、失っていく命を引き止められて、しばらくの間、苦痛を忘れるほどであった。 願いは一つ叶ったけれども、また夫のことを考えてみると、宿…
浜路は涙を止められず、養ってくれた親の邪悪さと網乾の悪知恵を聞くうちに、初めの恨みは更に募り、無常なこの世のできごとに胸が張り裂けそうになった。 かりそめにも離れて暮らすことになった、昨日も今日も着ているこの旅の衣。 夫である信乃の苦難を思…
網乾左母二郎は前の夜更けに神宮川の夜風に当たったせいか、翌朝から寒気に震え、熱に苦しんでいた。 この日は手習いの子供たちを早く返して、夕飯も食べずに寝ていた。そして次の日の午の刻の貝を吹く頃合い(昼12時ごろ)に具合が良くなったので、寝具を片…
早くも明け方の鐘の音に驚かされ、信乃と額蔵は同時に起き上がり、いつものように支度を整えた。 急いで宿を出たものの、さすがに別れが惜しくなった。額蔵は夜が完全に明けるまで信乃を見送ろうと古河の方へ進もうとし、信乃は額蔵を見送ろうと江戸の方へ帰…
第二十一回から第二十五回まで超意訳:南総里見八犬伝をお送りしました。今回は浜路くどきと信乃の出立まででした。悪役網乾も悪巧みで立ち回り、信乃ちゃんは実は大ピンチ。残された浜路ちゃんも大ピンチ。今後どうなりますか、さあ、お立合いって感じです…
蟇六は、まるで水に溺れたかのように信乃に介抱させ、しばらくして目を開いた。手足を動かし、ようやく正気に戻ったように助け起こされた。 自分の脈を取り、「何とか私は再び生き返った。危なかった」 とそばの柱にすがって立ち上がると、信乃は伯父の速や…
話が変わって、陣代簸上宮六は、先に村長蟇六の娘浜路を見初めた時から、恋焦がれてしまっていた。寝ても覚めても浜路のことを忘れられず、誰か仲を取り持ってくれないだろうかと考えていた。その考えが顔色に現れた様子で、陣代に媚びて威張っていた部下の…
犬塚信乃戌孝は、伯母の夫である大塚蟇六の家に移り住んでから、不承不承ながらも日々を送り、年月を重ねた。しかし、里のほとんどの人々とは親しく言葉を交わすことはなかった。 ただし、百姓の糠助だけは、古い馴染みであり、伯母も信乃のことだからと疑わ…
2025年3月21日石神井城に登ってきました。 土の城シリーズ、続きます。 こんなトコです。 練馬区のど真ん中なんです。 でも登城の前に昼ごしらえ。 何故か東武東上線上板橋駅に舞い降りる私たち。 蒙古タンメン中本本店さんです。5人待ちくらいでした。 白根…
もう一度述べるが、大塚蟇六は信乃を迎えて、亀篠とともに愛想良く歓待しているが、それはただ外聞を飾るのみであった。蟇六夫婦は実は心に刃を研いでいるのだ。 例えば蟇六はすでに里人たちを欺いて、番作の田畑を横領している。少しも信乃のために使われる…
【口絵】犬山道節忠与(ただとも)斉の国の田単、燕を破った日、火は平原を燃やす。阿難、釈迦の入滅の時、煙雨から良く防いだ。 犬飼見八信道(のぶみち)剣術の極意は風の柳である。 火の属性持ちの道節さんと柔らの達人の現八さん、まだ出番は先 酢があれ…
2024年12月28日、富山に登ってきましたよ。 こんなトコです。 南総里見八犬伝の伏姫と八房、最期の場所です。 とみさん伏姫ハイキングコース 千葉県南房総のイベント・グルメ・アクティビティなど旬な観光情報満載でお届けしています。千葉県南房総市が運営…
第十六回から第二十回まで超意訳:南総里見八犬伝をお届けしました。犬塚信乃編、もしくは犬塚親子編といった感じでした。今回も謎、というか気になったことを書いてみます、どうかおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。 ①手束ちゃんは武道の達人か…
信乃は庭から現れた人の呼び止める声を聞いても、まったく止めようとはしなかった。早く身体に突き立てようと刃を持ったが、腕が痺れて死ぬことはかなわなかった。 こんなはずではないと何度も死のうとしたが、真っ先に飛び込んで来たのは誰でもない、再度来…
こうして百姓の糠助は中途半端に信乃を助けようと犬を蟇六の屋敷の裏門に追い込んで計画したことは、犬を失うだけではなく、とばっちりが自分自身に関わっては困ると早く逃げ返ってしまった。 家の者に事情を話して、「もし村長のところから人が来ても、いな…
応仁は二年で文明と改元した。1470年文明二年、信乃十一歳、母を亡くして三年以来、父に仕えてますます親孝行を尽くしていた。 その間に犬塚番作は歩行不自由なことに加えて、早くに男やもめとなってしまったので、年を取るごとに気力が衰え、齢五十にもなっ…
2024年11月2日映画八犬伝について、いろいろぼやきました。 しかしまだ何か虚のパートについてしっくりきません。 今日一日城攻めしながら、いろいろ考えて、ようやく引っ掛かったところが分かりました。 再度おつきあい下さい。NGな方はパスしちゃって下さ…
2024年11月2日、映画八犬伝を見てきました。 大雨の予報で探索も厳しそうでしたので、映画を見ようと思ったのです。 しかし梅田も難波もチケット完売!!( ゚Д゚) ちょっと周辺部の映画館に行くことになりました。 映画についてはこちらを参照して下さい。 映…
こうして犬塚番作夫婦は年来の悲願を成し遂げて、男児を出生した。産後は、母も子供も健やかで、産屋をしまうころになった。「さて赤子の名前を何としようか」 と女房手束に語り掛けると、しばらく考え込んで、「世間では子育ての経験のなきものは、男子であ…
こうして大塚番作は軽傷ではあったが、一昼夜かなりの道を走ったので、疲れとともに傷が痛み、一晩中ぐっすりとは寝られなかった。 枕に聞こえる松風、谷川の音が騒がしく、寝るというよりはまどろみ、襖越しに話し合う声に目が覚めた。枕から頭を上げて良く…